つながるコラム「絆」 vol.99 松江市 ・ 石川芳廣さん

くにびき地区本部

自然体で向き合う農業

石川 芳廣さん

くにびき中央地区本部

ハウスで育てる季節の野菜

松江市玉湯町の山あいに並ぶハウス。外の冷たい空気とは対照的に、温かなハウスの中には、一面に濃い緑色のホウレンソウが栽培されています。 このハウスを管理しているのが、石川芳廣さん。ご両親とともに、10棟のハウスで野菜づくりをしています。春は野菜苗、初夏はトウモロコシ、夏から秋にかけてトマトとキュウリ、そして冬はホウレンソウと白カブ。作物をリレーのように栽培することで、年間を通してハウスを活用しています。 農家に生まれた石川さんですが、小さい頃から農業を継ごうと思っていたわけではなかったといいます。そんな中ではありましたが、進学先には農林高校を選択。その後、東京農業大学に進み、関東で高校の講師として教壇に立っていました。しかし、最終的に選んだのは、後継者を育てる立場ではなく、自ら農業に向き合う道でした。24歳で島根にUターンし、家業を手伝い始めました。

自然体で向き合う農業

当初は両親が中心となって農業を行っていて、石川さんは"手伝い"の立場でした。作業が終われば時間は自由で、人間関係のストレスも少なかったといいます。「もともと人との付き合いがあまり得意じゃないんです。農業は自分のペースでできるから気が楽で」と石川さんは笑います。

近年は気温の上昇や急な寒波など、これまでの感覚が通用しない場面も増えました。それでも、雪が積もればビニールを揺らして落とし、強風が予想されれば補強を確認する。目の前のことを一つずつこなしていく。その姿勢は、自然に対しても変わりません。 農業を特別視せず、できることを淡々と重ねていく。そんな向き合い方が、今の営みを支えています。

サッカーと、自由な時間

石川さんのもうひとつの顔は、熱心なサッカーファン。試合があれば、横浜まで日帰りで足を運ぶこともあります。「できない時は行かないし、行ける時は行く。それだけです」と石川さん。農業は忙しくもありますが、自分の裁量で時間を動かせる仕事でもあります。日々の営みの中に、さりげなく楽しみを織り込むのが石川さん流です。

農業を"自分の仕事"にする

今後について「ハウスは増やさず、現状維持が目標です」と笑いながら答える石川さん。一年を通して休むことなくハウスを稼働させている一方で、実は水稲も栽培しており、近隣の田んぼを引き受ける予定もあります。農地を荒らさないことも大切な役割。その営みが、地域の風景を守っています。 石川さんから教わったのは、農業は"やり方"よりも"向き合い方"なのだということ。大変さはあるけれど、自分で時間を組み立てられる自由がある。向き合い方次第で、この仕事は"自分の仕事"になっていくのだと、石川さんの姿から感じました。



バックナンバーへ >>