つながるコラム「絆」 vol.57 大田市・石原秀範さん

石見銀山地区本部

食べ物は人を幸せにする力がある

石原秀範さん(54才)

石見銀山地区本部

農業をもっとやっていきたい

大田市の「石見銀山アスパラガス生産組合」に所属する石原さんは長年、新聞販売の会社を経営する傍ら、水稲をメ インとした農業に取り組んでいます。米の価格が低迷していく中、今後どうしていくかと考えた時に〝やっぱり農業をもっとやっていきたい、という思いが募り、3年前から施設栽培に挑戦することに。JAの広報誌で「リースハウス事業」のことを知り、その事業を活用して26aでアスパラガスの生産をスタートさせました。その他にも、作業受託13haや今まで手がけてきた水稲6ha、白ねぎ120a、えごま1haなどいくつかの作物を生産しています。また、自ら代表取締役を務める会社にも「農業事業部」を設置。農業専従の社員が2名、季節ごとのパートが5名と、法人としても農業に取り組んでいます。

同じ目標を持つ仲間の存在

現在、「島根県」「大田市」「JAしまね」そして「石見銀山アスパラガス生産組合」が連携して取り組んでいるアスパラガスの生産。「新たな大田市の特産品に」という目標を掲げ、チームが一体となり生産量拡大・産地化に向けて、日々活動しています。石原さんは「このチームがあるから、ここまで成長できた」と明言します。組合では定期的に研修活動を行ったり、誰もが現状や年間の収量をオープンにしたりすることで、「なぜ、この人の収量が多いのか?」「〇〇さんは少ないけど、こうしたらいいんじゃない?」と課題を共有し、解決に向かってみんなで一緒に考えていく体制を取っています。最近では、スマートフォンアプリLINEのグループを作り、そこで質問などのやり取りや情報を共有。「組合の仲間もそうですが、JAや行政の担当者の情熱も伝わってくる」と話す石原さん。チーム全体でレベルアップを図り、同じ目標を持つ仲間の存在が大きな力となっています。

思いついたことは挑戦!

数年前から組合で行なっている「高畝(たかうね)栽培」。畝を約60cmに持ち上げて作り、そこに苗を定植させていく方法です。島根県内で取り入れているところはまだ少なく、大田市が先駆的に取り組んでいる活動のひとつです。「本当は、あと20cm高くした方が体に負担がかからないベストな高さ」と石原さん。次に新しく作る施設には、この考えを取り入れて畝を作る予定です。「長く続けて作業するにはどうしたらいいか」と試行錯誤しながら、思いついたことは何でもすぐに取り入れる石原さん。移動が楽にできるよう、シニアカーを自分で改良した作業用の車で収穫作業を行っています。

食べ物は人を幸せにする力がある

組合は〝多くの人に、おいしいものを届けたい〟と、都会地への売り込みにも力を入れています。最近では、関東や関西の大田市人会で、大田市の特産品をPRしています。「皆さん、本当に大田を愛し、応援してくれている」と笑顔を見せる石原さん。ふるさと納税や贈答用の注文などは年々増えているそう。今後も色々なパイプを駆使しながら、販路の新規開拓を行っていく予定です。課題の一つである「輸送コスト」にも目を向け、空いている便などをうまく活用しながら費用を抑えていくことも検討。「食べ物は人を幸せにする力がある。たくさんの人に大田市のおいしいものを食べてもらいたい」という思いを原動力に、生産だけではなく販路開拓や販売方法の模索を続けています。

大好きなサウナでリフレッシュ

石原さんは大のサウナ好き。1〜2日おきに、隣町の温泉施設に通い、温泉には入らずサウナのみ楽しむのだとか。「そこで知り合いと話したり、新しい仲間を作ったりと、交流の輪を広げることが楽しい」と話す石原さん。反対に1人の時は、ゆっくりと考える時間に。いつも大体2時間サウナで過ごすそうで、この時間が石原さんの新たなひらめきにも繋がっているのかもしれません。

新しい仕組みづくりがおもしろい

大田市では新規就農者の受け入れ体制を強化し、行政と組合による全面的なサポートを行っています。石原さんも3年前にスタートさせたアスパラガス栽培ですが、もうすでに一定量が収穫できるようになったのは「同じ目標を持った仲間のおかげ」と話します。今後も新規就農者を増やし、組合としての生産量アップに向けて活動を広げていく予定です。
また、組合ではアスパラガスの加工品開発にも意欲的に取り組んでおり、アスパラガスは県内企業の(株)石見麦酒でポタージュスープにもなっています。「多くの方に協力してもらい新たな加工品の開発にも取り組みたい」と、新しいことにどんどん挑戦していく組合。石原さんも組合の一員として目標の実現に向け、生産、そして新しい仕組みづくりとフル稼働の日々が続きます。



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