つながるコラム「絆」 vol.50 浜田市金城町・河田正富さん
河田正富さん(65才)
いわみ中央地区本部
父が始めた栗栽培を継ぐ
浜田市の中心部から緩やかな坂道を上り南へ、金城町の深緑の木々に囲まれ河田さんの栗畑はあります。かつて河田さんの実家は原木しいたけ栽培、稲作を中心に農業を営んでいました。昭和60年に父が知人に進められたこともあり栗を栽培することに。「当時は多くの人が始めた」と振り返ります。平成20年頃、一時はやめることも考えたそうですが、「金城町やJAから栗の苗木や資材の支援も受けることができたため、親の栗畑を引き継ぐことにした」と、葉の茂った栗の木を見上げます。
剪定と消毒と草刈りが栗の良し悪しを決める
栗の栽培は、収穫までに長い時間を必要とします。その年の収穫が終わり、翌1月に入ると枝の剪定です。剪定は木の成長には欠かせません。日当たりや風通しを良くし、芽が膨らむ3月中頃までには終えるようにしています。そして暖かくなり虫が動き出すころから草刈りを始めるそうですが、「傾斜のある畑での草刈りが、一番きつい作業」と河田さんは話します。雑草を放っておくと、根元に虫がつき成長を妨げるため、雑草が伸びるたび作業は繰り返されます。また、栗の花が終わり、栗が金平糖ほどの大きさになったら、収穫まで2~3回消毒をし、病害虫を防除します。
栗は自然落果を毎日収穫
そして9月、いよいよ収穫の季節を迎えます。栗は木になっている実ではなく、自然落果した実を毎日収穫します。長く放置しておくと、日に当たり変色し、実が乾いて空洞ができることがあるそうで、昼過ぎから畑の見回りを欠かしません。一つ一つ火バサミで丁寧に拾い、収穫した栗はイガから外して、形で秀、優品に分け、週3回JAの選果場へ持っていきます。
今年も9月1日から出荷が始まり、JAでサイズ別に選果された栗は、浜田、松江、出雲の市場や地元菓子店へ納められます。秋の実りがもたらす苦悩
しかし、栗の実りを待っているのは人間だけではありません。栗の栽培において最も頭を抱えているのが、熊や猪などによる被害です。栗畑は周囲をトタン板で囲っていますが、防ぎきれません。さらに、熊は実を食い荒らすだけでなく、枝を折ってしまうので翌年以降の収穫にも影響をもたらしてしまうとか。そこで爆音の鳴る機械を設置し、熊を近づけないよう対策しているそうです。しかし、「熊には効果があったが、猪にはダメだった」そうです。今年になって、初めて栗畑の一番下まで被害にあい、日々注意を払っています。栗の収穫が終わるまで、気の抜けない状況は続きます。
春から秋は栗、冬はスキー!
現在、栗畑には約100本の木があり、多い時の収穫量は600㎏におよびます。今後について「今は収穫量を増やし販路を拡大することは難しい。栗を剥く加工作業の人手も足りない、まずは現状を維持すること」と話します。しかし、「美味しい栗を作って消費者に知ってもらうことが大切、今まで以上に実の詰まった大きな栗を作っていきたい」と直向きな河田さんの栗作りへの挑戦は続きます。
大きな栗を作りたい
現在、栗畑には約100本の木があり、多い時の収穫量は600㎏におよびます。今後について「今は収穫量を増やし販路を拡大することは難しい。栗を剥く加工作業の人手も足りない、まずは現状を維持すること」と話します。しかし、「美味しい栗を作って消費者に知ってもらうことが大切、今まで以上に実の詰まった大きな栗を作っていきたい」と直向きな河田さんの栗作りへの挑戦は続きます。