つながるコラム「絆」 vol.37 雲南市・梅
雲南市・梅
雲南地区本部
雲南梅生産組合 祝原光雄さん
今回のピックアップは梅。雲南市で梅の栽培に取り組む雲南梅生産組合の祝原光雄さんを取材してきました。雲南市三刀屋町で約30年前から梅を栽培する祝原さん。元々、家では米や野菜など自分たちで食べるほどの農業はしていましたが、歳をとってからの楽しみのために梅を植えることにしました。最初は5aほどの敷地から始めましたが、年々梅の木を増やしていき、今では約30aの広さで100本近くの木を育てています。
受粉の難しさ
出荷する主な品種は「南高梅」。皮が薄く、果肉が柔らかいという特徴があり、いちばんのヒット商品です。その南高梅が実をつけるには、他の種類の花粉が必要になります。そのため、受粉樹として小梅の木を植え、花が咲くタイミングで養蜂家からミツバチを借りて、そのハチを使って受粉させます。ハチは双方の木を行ったり来たりして花粉を運んでくれます。ただ、南高梅と小梅が同じタイミングで花を咲かせないと受粉ができないため、お互いの開花の時期がずれると、その後の実の付け方にも大きく影響していきます。
自分に合うやり方を探し続ける日々
祝原さんにとって、梅を育てる上でいちばん難しいのが「剪定作業」だと言います。通常、剪定は夏と冬に行います。夏は軽く20%くらいで、冬は細かいところまで丁寧に切っていきます。剪定には、芽の切り方や切る幅の長さ、深さなど幾通りものやり方があり、その中から自分の木に合ったベストな方法を見つけるのは容易くありません。祝原さんも、今まで色んな人から聞いたやり方でやってみたものの、これが良い!というやり方はまだ確立されていないそう。土壌や木の状態、さらに毎年変わる気候条件を見ながら、自分に合ったやり方を探しています。「長い間やっていても、毎年が初めてみたいな感じです」と祝原さんは今もなお試行錯誤を続けています。
喜びがつまった2週間
南高梅が実を付け始めるのは、毎年5月上旬ごろから。その後摘果作業を行い、収穫の時期は、毎年6月中旬からの約2週間。この時が祝原さんにとっていちばん嬉しい時です。このたった2週間の間に今までの努力が全て報われます。さらに収量があれば、なおやりがいも感じられます。
後継者不足という課題に向かって
地元のために手間隙かけて育てる喜び。そういった思いを持ちつつも、現在抱える大きな悩みはやはり"後継者不足"。結成当初は80名近くいた生産組合の組合員も、今では8名までに減少しました。組合としても毎年JAと企画して剪定講習会などを開催しています。「まずは、梅生産組合の存在を知ってもらうことが大事」と語る祝原さん。多くの人に参加してもらうことで、生産組合への興味も持ってもらい、いずれは組合にも加入してもらえたらと考えています。農家の負担を減らしながらも何とかこの地域の梅の生産を絶やさぬよう努力しなければならないと、将来のことを考えながら活動しています。
梅雨の季節が近づくにつれ、店頭には青梅が並び始めます。最近、再び注目されている「梅しごと」。梅干し、梅シロップ、梅酒など保存用の梅を準備する一連の作業のことをそう言います。南高梅は皮が柔らかく、食べた後でも口の中で溶けるようにスッと消えていくので、漬けて食べるのがオススメです。