つながるコラム「絆」 vol.35 邑南町・キヌサヤ

島根おおち地区本部

夫婦二人三脚で続けていきたい

邑南町・キヌサヤ

島根おおち地区本部 
種 章さん、真里子さん

今回のピックアップはキヌサヤ。邑南町でキヌサヤの栽培に取り組む種章さん、真里子さん夫妻を取材してきました。広島との県境にほど近い、邑南町羽須美地区。このあたりでは冬場に雪が多く積もるため、育てられる農作物が限られてしまい、どうしても農家の収入がなくなってしまうことが課題でした。そこでJ A島根おおちでは、春すぎからでも収入が見込める作物としてキヌサヤの栽培を推奨し始めました。種さん夫妻は当時、この時期に何か作れるものはないかと思っていたところ、J Aの情報誌を見てキヌサヤができそうであるということを知り、栽培を始めることにしました。

アドバイスをきちんと実行

種を蒔く時期や虫が発生した場合の消毒、ネットの張り方などの細かい部分はJAの担当者に聞きながら、教えてもらったことを忠実に実行していく種さん夫妻。種を蒔く時期が遅くなると、短いスパンで花が咲かないようになるので収穫できる実が少なくなることも。また、豆科特有の性質から、ひとつの圃場で連作することができません。豆科の場合は大体、5年に1度という間隔をあけ、各圃場を順に使用していくと良いとされています。そのような情報を教えてもらったり、何かあった際にはすぐに担当者が見に来て指導やアドバイスをもらえることにとても感謝しています。

絶好のタイミングを見逃さないように収穫

通常、11月の終わりから種を蒔き、寒い冬は雪の下を通します。無事に冬を越した株は、春になるとツルがどんどん成長していきます。大きくなると1m80cmくらいまでに伸びるそう。5月中旬くらいから、約1ヶ月間、毎朝ハサミでひとつずつ丁寧に切って収穫をします。サヤは小さすぎず、且つ豆を付ける直前で収穫するものがベストであり、そのタイミングを逃さないように常に気をつけていなければなりません。

種さん夫妻は毎日この作業をこなし、「やる以上はちゃんとしたものを出したい」と夫婦で口を揃えて言います。その言葉通り、JAの担当者からは「種さんは性格がマメなので、しっかりとしたものを出荷してもらっています」と太鼓判を押されるほど。また、JA側の「どうにかして、農家の収入を切らせないように」という思いも伝わり、お互いがそれぞれの気持ちに答えようと懸命に取り組んでいるからこそ、結果的に良い出来の作物を出荷できることに繋がっています。


二人三脚で続けていきたい

種さん夫妻が栽培するのはキヌサヤの他にもピーマン、白ネギ、ヒラタケなどで、年中ほぼ休みなし。忙しい毎日を送っていますが「もっと早くから農業をやりたかった」と言うほど、今の暮らしを楽しんでいる様子。「最近は、毎年天候も違う。だから毎年1年生。とにかく去年より良いものを作ってやろうっていうのが目標なんだけど、なかなかそこまでいかないよね。それができるようになったら一人前だと思う」と語る章さん。また、真里子さんは毎朝圃場を見て回る際に、芽が出てきたり、大きな実を付けていたりと自分たちが育てている作物の小さな成長が心から嬉しいそう。そんな二人は去年から枝豆の栽培も新たにスタートさせました。「また忙しくなるわぁ」と呟きながらも、どこか嬉しそうな真里子さん。夫妻は連れ添って40年。「うちは二人で一人前じゃけぇ」とお互いに笑い合いながらも、二人で一緒に作業することが当たり前となり、それが日々の活力となっています。



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