つながるコラム「絆」 vol.34 益田市・乳牛
益田市・乳牛
西いわみ地区本部
株式会社メイプル牧場
今回のピックアップは乳牛。益田市で乳牛の飼育に取り組む株式会社メイプル牧場・取締役場長の渡邉智章さんを取材してきました。メイプル牧場は地元で肉牛の肥育を行なっている株式会社松永牧場のグループ会社として平成17年に設立されました。メイプルとは、カナダでよく見られる楓のことで、赤ちゃんの手のひらという意味もあります。「子どもたちに飲んでもらいたい牛乳」を届けることをモットーに異業種の5名が集まって立ち上げた事業です。
西日本屈指の大牧場へ発展
牧場には、乳牛、F1(交雑種)、黒毛牛の3種類合わせて約2千頭の牛がいます。このうち、乳牛のメスは残し、種付けをして出産させ、ミルクを搾ります。現在は年間1万2千トンの出荷量を誇る西日本でも屈指の大牧場に発展しました。ここでは酪農はもちろん、松永牧場に肉牛のF1、黒毛牛の子牛を供給することも目的としていて、繁殖・飼養にも力を入れています。
毎日徹底されている乳質管理
メイプル牧場では、乳牛に対し採食量の管理をきっちり行い、健康な牛を育てています。牧場が設立された当初、世界初の乳質管理改善システムを導入。朝、夕の搾乳時に一頭ずつの脂肪、体細胞、血液量を瞬時に計測、確認できます。それぞれの状態に合ったエサや添加剤をコントロールしていくことで、毎日厳しい乳質管理を行っています。今の時代は「治療するのではなく、予防することが大事」と言われています。病気になってから治すのではなく、病気にならないようにどう注意するか。そのためにグループ企業が連携し、全力で牛の体調管理に気を配っています。
新型のロボット式パーラーの導入
2019年に新しく稼働を始めたグループ会社の「浜田メイプル牧場」では、国内で2番目となる新型のロボット式パーラーを2機使用し、約800頭の乳牛の搾乳を行っています。大きな円形の土台に牛が乗ると、自動的に搾乳機器が付けられ搾乳が始まります。下の土台がメリーゴーランドのように一周する間(約15分間)に決まった量を搾乳できていると、機器が外れ、出口から牛が出て行くという画期的なシステム。このように、最新機器の導入で時間と労働力の削減が可能となりました。
年中無休で稼働する牧場
現在従業員はパートやベトナムからの実習生を含め38名。2交代制でシフトを組み、早朝から夜遅くまで搾乳をはじめ、牛の世話や牛舎清掃などの作業をこなしています。まとまった休みを取ることは難しいですが、それでも従業員みんなが真摯に仕事に取り組んでいます。「子牛に対しては自分の子どもを見るように十分注意しながら面倒をみてほしい」と語る渡邉さん。でも、「みんなが本当に頑張ってくれています。どこでも通用するくらいの技術を身につけているのでとても頼もしいです」と、牛の命や安全に関わることは徹底的に厳しく教育しつつも、従業員と築かれた深い信頼関係が伺えます。
地域の方々と共に成長していく
畜産という業態はにおいやカラス、汚水などの問題からすべての地域住民から理解を得られているとは言い難い現実があります。そこで、メイプル牧場では地域の人たちに受け入れてもらうためにも、様々な行事や祭りなどに積極的に参加し、アイスクリームの販売や牛乳の無料試飲などを行いながら少しずつ地域との距離を縮め、畜産業への理解を深めてもらえるよう取り組んでいます。今後も、メイプル牧場は地域も企業も笑顔になれるようお互いに支え合いながら、最大の目的である美味しい牛乳を皆さんに届けるべく、日々前向きに努力し続けています。