つながるコラム「絆」 vol.25 隠岐の島町・繁殖牛

隠岐地区本部

将来性抜群な子牛を生み出す、島の人びと

隠岐の島町・繁殖牛

隠岐地区本部 
野津賢三郎さん 田中修司さん親子

今回のピックアップは繁殖牛。隠岐の島町の都万地区で繁殖農家として肉用牛向けの子牛生産に取り組む、野津賢三郎さん、田中修司さん、美砂子さん親子を取材してきました。
近年は島根県全体の和牛の頭数が減っているなか、隠岐地域では盛んに生産が行われ頭数が増えています。元気で将来性抜群な島の和牛生産に携わる農家さんたちをご紹介します。

(野津賢三郎さん)

牛で二刀流

隠岐の島町が誇る伝統文化「牛突き」。巨体の雄牛同士が激しくぶつかり合う伝統行事は、隠岐に御配流となった後鳥羽上皇をお慰めするためにはじまったといわれています。フェリー乗り場に貼ってある観光協会のポスターには、綱を取る勇敢な人と牛が対峙しています。実はこのポスターに載っている人物が、野津賢三郎さん。

野津さん「長い間、この牛突きに携わってきた経験があり平成23年頃から繁殖牛の生産もはじめました。現在は観光協会のスタッフとして月に10番程度、牛突きのイベントに参加するかたわら、放牧と牛舎を利用して子牛を生産しています」と牛とともに人生を歩んでいます。

評価の高い隠岐の子牛は年3回の市場に

野津さんは繁殖牛9頭を飼育。6頭を公共牧野に放ち、種付けの確認や授乳中の雌牛を牛舎で飼育。半年から8カ月くらいになった子牛を年3回ある家畜市場に出荷しています。

野津さん「口の付いている生き物なので365日世話をする必要がありますが、もっとたくさんの肥育農家さんに隠岐の牛の良さを知ってもらえるよう頑張っています。近く15頭まで繁殖牛を増やす予定です」と話をされる野津さんはまだ30代。今後の隠岐の和牛を担っていく農家さんの一人です。

(田中修司さん親子)

親子2人3脚で

田中美砂子さんと息子さんの修司さん。2人で32頭の繁殖牛を飼育し、子牛を年に20頭あまり出荷しています。 修司さん「もともと他界した兄が中心となって家族みんなで繁殖農家として経営を拡大していくことが夢でした。その遺志を引き継ぎ、徐々に牛を増やしていっています」

「頭数を増やせば牧草の確保や時には夜中に立ち会うお産など作業も比例して増えていきます。また、牛の性格も人と一緒でさまざま。性格を見極めながら的確な授乳や食事など与えることで元気な子牛に育つよう徹底しています」と肉用牛としての素質を最大限まで引き出す努力を行っています。

強健な子牛とお別れの時

隠岐では主に放牧を活用した飼育が行われています。放牧といっても草原の中に放すというより、傾斜のある山間部のようなところに放牧され、強健な親牛から元気な子牛が生まれています。そんな環境で育つ子牛は強く、将来的に肉用牛として大きく育つと買い手の評判は高く、引く手あまた。
「子牛を出荷する時にお神酒をかけて、ありがとうの一声をかけています」と感謝の気持ちを忘れず自慢の我が子(子牛)を出荷しています。

全国にいくつもある有名なブランド牛。もしかしたら隠岐の子牛を育てたものかもしれません!



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