つながるコラム「絆」 vol.20 邑南町・花、サニーレタス
邑南町・花、サニーレタス
島根おおち地区本部
新規就農者
西森浩隆さん
島根県のほぼ中央部に位置する邑南町。中国地方では最大の1級河川・江ノ川が流れ、総面積の8割が森林を占めます。国の特別天然記念物のオオサンショウウオや源氏ボタルが多く生息する自然環境が極めて優れている町。邑南町の中でも広島の県境に位置する旧瑞穂町には、広島市からIターンし、花やサニーレタスを栽培する新規就農者がいらっしゃいます。
さっそく西森浩隆さんに、取材させてもらいました。
邑南町では、2014年度から、町への定住と就農に必要な研修を受ける「おーなんアグサポ隊」制度を創設。地域起こし協力隊として3年間、様々な農作業を体験しながら農業に必要な経験を積み、定住に向けた支援を実施しています。
その制度を活用して移住した西森さんが畑で作業しているということで現地に行くと、今年で34才になる若い西森さんが穏やかな笑顔で登場。
どうしてIターンしたのですかとお聞きすると
西森さん「広島市内の洋菓子店でパティシエとして働いていました。競争が激しく将来独立するためには、何か特徴のあるケーキ屋を開きたいと思っていました」と、野菜を使ったお菓子作りはどうかと考えていたところ、邑南町の農業研修制度を発見!
西森さん「はじめから邑南町に住みたいというわけではなく、研修制度がしっかりしていたので、農業をみっちり学べると思いました」と、移住した理由は町独自の手厚い研修制度がきっかけでした。
農業は「ド」が付くほどの
シロウトだった
研修では1年目に花のトルコギキョウの栽培を体験。農業をするのは、はじめての経験で、全くの素人。
西森さん「よく植物が病気になると聞いていましたが、最初はただの冗談だと思っていました(笑)」と実際に栽培に携わると病気や害虫がとても身近にあり、それを防ぐために日々、農家が格闘していることを痛感。
西森さん「とにかく言われた通りにやってみました。そうしたところ、基本に忠実に栽培すれば、きちんと育つんだと、徐々に理解していきました」と地道に経験を積み、なんと携わったトルコギキョウの栽培で、邑南町農産物品評会の「優秀賞」を受賞。花栽培の面白さにひかれ、まずは農家になろうと決心した西森さん。3年間の研修を終えた2017年から本格的に就農しました。メインは花の栽培で、トルコギキョウやヒマワリ、ストックなどの花を生産するほか、サニーレタスと広島菜を生産しています。
経営基盤の安定化に向け、
サニーレタスなど生産
西森さんは花を栽培しているハウスの横でサニーレタスも栽培。畑は標高約330mにあり、比較的涼しい気候なので、サニーレタスの生産には向いており
西森さん「花を本格的に出荷するのはおもに夏場です。1年を通して収入を安定したいので、春先には2カ月で収穫できるサニーレタス、秋からは広島菜を栽培しています」と気候や土壌を考慮した上で計画的に生産ししている。
順調な滑り出しですね、とお聞きすると
西森さん「いや、失敗も多いですよ!大きさが揃わなかったり、生育スピードが計画通りにいかなかったり・・・。幸い、近くに同じ品目を栽培している農家の人がいるので、毎日見比べて、アドバイスを受けながら試行錯誤しています(笑)」と、近所の人が手伝ってくれたり、道具を貸してくれたりと、地域の温かい支援もあって、一歩一歩前に進みながら、楽しんでいる表情がうかがえました。
いつか、自分の作った農産物を使った、ケーキを作りたい!
夢を実現するためにIターンした西森さん、今後の抱負をお聞きすると
西森さん「農業はいわゆる自営業です。農業で経営ベースを作って、最終的には自分で作った作物でケーキなど何か洋菓子を作っていきたいです」と夢に向かってまっしぐら!
西森さん「邑南町は周りの人が本当に優しく親切に接してくれ、毎日穏やかに過ごしています。また、地域が新しいことに挑戦することに協力・積極的だと感じます。とっても住みやすいですよ!」と笑顔を浮かべる表情は、将来をしっかりと見据えていらっしゃいます。
邑南町では毎年、研修制度を利用して、様々な場所からIターン者が集まります。新規就農したい皆さん、取材班も長年、島根に住んでいますが、島根は田舎で不便です!(笑)
ですが、それを超えるほどののどかで心豊かな生活が味わえるはずです!