つながるコラム「絆」 vol.19 原木乾シイタケ

いわみ中央地区本部

黄金色に輝く、香り高きシイタケ

原木乾シイタケ

いわみ中央地区本部 
いわみ中央原木乾椎茸生産組合長 
岩地正男さん

島根県の西側に位置する浜田市。全国的にも誇れる海や山などの美しい自然があり、漁業や貿易が盛んで、人と自然がちょうど良いバランスで過ごせる西部の中核都市です。浜田市の中でも、広島県の県境にある山あいの旭町では、古くから原木によるシイタケ栽培が盛んで、県内最大の生産地。なかでも乾燥シイタケの品質は市場での評価が高く、その品質は実物を見れば一目瞭然!

今回は原木乾シイタケの生産に取り組む岩地正男さんを取材させてもらいました。

岩地さんは20歳の時から父親の原木栽培を手伝う形でシイタケ栽培に携わりました。地元農協での勤務時代には長年、シイタケなどの営農指導に従事し50歳で退職。専業農家となり20年、今年で70歳になります。岩地さんは過去11回行われた「島根県乾燥椎茸品評会」で最高賞の県知事賞を8回受賞、「全国乾椎茸品評会」でも3等賞を受賞するなど、数々の名誉ある賞を獲得し、その出来栄えや品質はお墨付きです!

言葉で説明すると、収穫したシイタケを乾燥させるだけで、作るのが簡単そうに聞こえるかもしれませんが
岩地さん「大きくて形が良い、原型に近い最高の乾シイタケは全体の2割程度。味は全く変わらないけど、乾燥させると普通は縮んだり、曲がったりするからねー」と、乾燥機械の風の流れや温度の違いを見定めるなど乾燥技術が必要。実際に形の良いシイタケを見せてください、とお願いすると、岩地さんが乾シイタケを大きなダンボールから取り出した。透明な袋に入ったシイタケを見た瞬間、想像よりも大きく、ヒダの部分が黄金色。綺麗に乾燥している見事なシイタケでした!

こだわり抜いた、
自慢のシイタケ

乾燥しているにもかかわらず、なんとも大きいシイタケ。そもそもシイタケはどうやって栽培するのかお聞きすると
岩地さん「まずはナラなどの広葉樹を切り出してきて、1メートル前後に切って、原木を作ります。そこにシイタケ菌を植え付けて、シイタケの発生を待ちます」と現在は、1万2千本ほどの原木を、自然の山と人工のほだ場に並べて栽培。平均で1本の原木に20カ所の穴に植菌すると、2年後の秋からシイタケが発生するという。

岩地さん「シイタケは無農薬、肥料も与えない反面、自然にまかせた栽培。天候にとても左右されるので、日々の散水や、ほだ場の日照管理などには細心の注意を払っています」と、人工のほだ場では天井の骨組みに、木漏れ日を再現するかのような日よけを施している。収穫時はシイタケの間に新聞紙を必ず挟んで痛みを防止、ヒダにゴミが入らないよう丁寧に作業し、品質の確保を徹底している。

味が濃縮、
これぞシイタケの香り!

岩地さんが乾シイタケの袋を開けた瞬間、部屋中に一気にシイタケの香りが漂い「おー、すごい香りですね!」と自然に声が出る取材班。

岩地さん「シイタケの香りと味を楽しむなら、水の入ったコップに乾シイタケを1コ入れて、1日漬ける。次の日に塩を少し入れて飲んでみてごらん」と教えてもらい、当日頂いたシイタケでさっそく実践。
1日経つとコップの水はしっかり茶色くなり、シイタケの旨味がたっぷり。コップ口に近づけると、シイタケの独特の高い香りが!飲んでみると高い香りとともに絶妙な風味が口の中に広がり、これぞシイタケ!という印象。

岩地さんの奥様から教えてもらった、戻したシイタケをグリルで焼き、マヨネーズと味噌とゴマ油を混ぜた特製タレに付けて食べたところ、とにかく肉厚でプリプリ、乾燥して美味しさが凝縮されたのか風味が増し、シイタケの奥深い味を余すとこなく堪能できました!

このシイタケを是非一度、皆さんに味わって欲しいです!

量よりも質 
山の恵みを後世に

出汁を取るもよし、煮物、佃煮など、さまざまな食べ方を楽しめるシイタケ。とくにここ旭町のシイタケは原木で丁寧に栽培しており、味は最高品質です。古くから旭町では原木のシイタケ栽培は主な産業の一つで、以前は旭町だけでも200人前後の生産者がいたが、現在は後継者不足などで、浜田市管内でも約50人まで減少している。

岩地さん「昆布・シイタケ・鰹。この3つが日本料理の3大旨味成分といわれています。日本の伝統の味を絶やさないように後世にシイタケの味を残していきたい」と菌床栽培に比べて味や風味が濃いとされる原木での栽培を、量よりも質にこだわり、作り続けいく決意を語られました。現在は岩地さん夫婦と娘さんの3人で携わっておられますが、後々は家族がさらにシイタケ栽培に携わる予定。岩地さんの技術を受け継ぐ後継者が続いていくことを応援しています!

ヒダが黄金色に輝く、香り高き島根の逸品「原木乾シイタケ」。見かけたら迷わず「買い」です、皆さん!

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