つながるコラム「絆」 vol.18 米粉煎餅を隠岐名物に

隠岐地区本部

6次産業化で島を元気にする!

米粉煎餅を隠岐名物に

隠岐地区本部 
勝部表装有限会社 
代表取締役 勝部義弘さん

竹島など約180の群島からなる島根県の隠岐諸島。なかでも、一番大きい島、隠岐郡・隠岐の島町。島の外周は約151kmで、面積の約80%を森林が占め、周辺の海岸全域は大山隠岐国立公園に指定されている、見事な海洋風景や雄大な山並みが観賞できる、自然豊かな島です。

今回はココ、隠岐の島町で米の栽培に農業参入し、米粉煎餅(せんべい)などを、生産・加工から流通販売まで一体化して取り組む、6次産業化に挑戦している内装仕上げ工事業の経営者、勝部表装の勝部義弘さんを取材してきました。

趣味ではじめた田んぼ、
あれよあれよという間に拡大

勝部さんは内装業に携わって45年(独立起業して35年)の生粋の職人。現在は社員6人を抱え、室内装飾等の内装工事のほか、看板などの屋内・屋外広告などを手掛る会社を経営している。農業を始めるきっかけは何だったのですかとお聞きすると、

勝部さん「7年前に田んぼ2枚(約2反=20アール)を借りて、趣味で米作りをはじめました。すると周囲や近くの方から、ウチの田んぼもやってもらえないか、と誘われるようになりました。規模が大きくなるにつれ、それなら事業として農業参入してみようと決意しました」とチャレンジ精神旺盛な勝部さん。ところが、米作りをはじめて、すぐにア然とし、危機感を感じたという。

勝部さん「食用として規格に満たない大きさの米はタダ半分のような値段で、それが年間3、4トンにもなることを知りました。これは何とかしなければ、事業として成り立たないと痛感しました」と6次産業化に取り組む、きっかけを教えてくださいました。

フットワーク良く、
スピード感を持って

とはいえ、規格外品のお米を何に加工すれば良いか?四六時中、考えていた勝部さん、「アイデアになりそうな場所にはどこにでも行きました。県主催のセミナーに参加したところ、煎餅を見かけ、コレだと思いました!」と煎餅作りを決意。ところが、いざ煎餅を作りはじめると、つなぎに何を使えば良いのか分からず、孤軍奮闘。

「ふと、そうだ隠岐には海がある。イカはどうかと、つなぎにイカを使ってみたところ、それが上手く成功しました。さらに海鮮の香りがほのかに香る、美味しい煎餅に仕上がりました」と、思いついたらとにかく、自分でできる範囲で、すぐ何でもやって見るという、勝部さん。実際、勝部さんにお会いして、フットワーク良く、スピード感を持って事業を進める、バイタリティー溢れる雰囲気が伝わってきます!

隠岐のお米で、
隠岐のお酒を

勝部さんのフットワークの良さは事業にも直結。取材当日、田んぼの途中にあった地元の酒造メーカー、隠岐酒造さん。酒米も作っているとの事で、そのままふと立ち寄ったところ、隠岐酒造の毛利社長にバッタリ。

勝部さんが山田錦を作ってJAをとおして納めていることを聞いたところ、
毛利社長「5、6年前かなー。船でたまたま勝部さんに会って、誰か山田錦を作る人いないかなー、と話したところ勝部さんが、あっ、それならすぐ私が作ります、ということになりました」と船の移動でたまたま出会ったのがきっかけで商談成立という、離島ならではのお話!なんとそれが縁で、隠岐酒造の「隠岐誉 純米酒」に「『隠岐産山田錦100%』隠岐誉 純米酒」が新たなラインナップとして加わった。

島の人・モノを大切に

現在は年間1トンのお米を使い、グルテンフリーの米粉煎餅のほか、島の観光地など、煎餅に特殊プリントを施した商品をお土産や贈答用として販売。島のホテルなどの宿泊施設や売店などで取り扱っている。

勝部さん「まだまだ、煎餅を作るには有り余るほどの規格外のお米があります。米粉煎餅は今話題のグルテンフリーです。まずは地元の人全員に浸透し、愛される商品作りを続けていきます」と想いを語られた。事業が大成功して大儲けできると良いですね!と言ったところ、
勝部さん「大儲けなんて全く頭にありません。事業が大きくなれば、島のみんなでやれば良い。目指すは、一人一人の日当が出る程度の利益で、田んぼを含めた島の景観が少しでも守られ、島全体が盛り上がって、昔からののどかで豊かな明るい雰囲気が将来も続いていくのが目標です」と眼差しは地元愛そのもの!その情熱は米粉煎餅だけではなく、次なる商品にも注がれ、米粉麺などの開発を模索している。

取材当日に食べさせて頂いた煎餅はもちろん、イカの風味がほのかに香る、とっても美味しい煎餅。勝部さん!島を大切にするそのお気持ちは分かりますが、地元以外でも、その煎餅、買わせてください!

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