ベランダでも育てられる みんなのコンテナ栽培(ミニトマト)

2025年11月28日

ミニトマト

初心者は苗から始めよう マメな追肥と水やりで草勢維持

 トマトの遠い先祖は、南米アンデス高原で生まれました。大玉トマトは、最後に行き着いたメキシコの標高2000m付近で大ぶりに発達したのに対し、ミニトマトは中米を経てメキシコへ至る標高0~2000mのさまざまな環境で広く自生しています。そのため大玉トマトが涼しく乾燥した環境を好み夏は苦手ですが、ミニトマトは過酷な日本の環境でも栽培しやすいです。
 ただ丈夫であるが故に果実が付き過ぎ草勢が弱くなりがちです。そこで第2花房の着果から週1回追肥を施して草勢を維持します。果実が割れやすいのも欠点です。特に収穫前が雨だと割れやすいので早めに収穫を。雨に当てないように軒下へ鉢を移動するのも方法です。品種は、草勢が強く、耐病虫害性があり、裂果しにくい高糖度品種を選びます。

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▲病気に強く、裂果が少なく、肉厚で甘みが強い多収のプラム型のミニトマト

【基本情報】

●分類:ナス科ナス属
●原産地:南米ペルー(アンデス高原)、(2次中心)中米・北米(メキシコ)
●発芽適温(地温):25~30度
●生育適温(気温):昼間25~30度、夜間13~20度
●日当たり:日なた  ●好適pH:6.0~6.5

【病害虫情報】

トマトサビダニ:下葉が褐変し、やがて茎や果実が緑褐色になる。乾燥で多発。真夏はまめに水やりし、発生したら早めに薬散を。
アザミウマ類:果実に蚊に刺されたような白膨れ症状に。ウイルス病も伝染させるので、早めに薬散で防除する。

ミニトマトの栽培方法

※温暖地を基準に記事を作成しています。

1 種まき

 直径12cmのポリ鉢に市販の野菜用培養土を入れ、深さ約1cmのまき穴を3カ所開け、1粒ずつ種をまく(写真1)。種に土をかけ、土表面を手で押さえたら水をやる。5~7日で芽が出るまでは土が乾かないよう注意する。出芽後は土を乾かし気味にする。

【ポイント】
2~3月の種まき・育苗は加温が必要。難しい場合は夜温が確保できる4~5月に若苗を購入し、直径12cmの鉢へ植え替え育苗するか、5月以降に種まきする。

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2 間引き

本葉2枚までに1株に間引く(写真2)。

【ポイント】
子葉が十分開いた頃とその後30日の2回、肥料(IB化成)1粒を鉢縁に指で押し込む。

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3 植え付け

 最初の花房のつぼみの色が黄色くなってきたら遅れず植え付ける。直径39cmのポリ鉢に培養土を入れ、中心に深さ約15cmの植穴を開ける。
 植穴へIB化成約62gを施し、根と肥料が触れないように土を少し入れたら(写真3)苗を植え付ける。さらに長さ75cmほどの仮支柱を斜めに挿してひもで誘引し、最後にしっかり水やりする(写真4)。

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4 支柱立て

 茎が伸びてきたら、高さ150cmのリング支柱を立て、外周に沿って茎をらせん状にひもで順次誘引する(写真5)。

【ポイント】
わき芽は通気や採光を確保し、病虫害の発生を抑えるため早めに取り除く(写真6)。

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5 授粉

 放っておいても実は付くが、支柱を棒で細かくたたくと花粉が舞いよく実が着く。

【ポイント】
真夏は高温で実が付きにくくなる。ホルモン剤(トマトトーン)を散布して着果を促す。1花房当たり3~4日置きに3~4回花に処理する(写真7)。

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6 収穫

 最初の収穫は、第1花房開花後50日程度。熟して裂果する直前が味や栄養も最高(写真8)。収穫適期は3日ほどなので時期を逃さず収穫する。

【ポイント】
第2花房の果実が着く頃から週1回化成肥料(NPK各成分8-8-8)約14gを施し、水やりして草勢を保つ。

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栽培カレンダー

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出典等

出典:(株)日本農業新聞「JA広報通信」12月号

写真・文:園芸研究家●淡野一郎 写真©ICHIRO AWANO