ベランダでも育てられる みんなのコンテナ栽培(かきチシャ)
かきチシャ(サンチュ)
暑さや寒さに強く栽培しやすい 葉をかき採りながら長く収穫
かきチシャの韓国名は「サンチュ」といい、焼き肉を巻く葉っぱといえば思い出してもらえることでしょう。葉は巻かず結球しないリーフレタスの仲間で、多くは戦後導入されたのに対し、かきチシャは平安時代に導入されました。そのため日本の環境にもなじみ、栽培しやすいことが特長です。名前の由来は、葉を「掻(か)き」採り収穫する「チシャ(レタスの和名)」からです。
本来、レタスは涼しい気候を好み、25度以上の高温で生育が悪くなり、多湿で病気を多発します。一方で、かきチシャは、暑さや寒さ、病気にも強く、種まきは年中できますが、好適なのは2月中旬から5月中旬の春と8月中旬から9月中旬の秋です。特に秋まきは、翌春の高温・長日で花芽ができ、4、5月にとう立ちするまでかき採り収穫で長く楽しめます。
▲シャキシャキとした歯応えが楽しめる青葉が特徴の「青かきチシャ」
【基本情報】
●分類:キク科アキノノゲシ属
●原産地:中近東内陸から地中海沿岸
●発芽適温(地温):15~20度 ●生育適温(気温):18~22度
●日当たり:日なた/半日陰(夏) ●好適pH:6.0~7.0
【病害虫情報】
アブラムシ類:主に春~秋に葉の裏に発生。初期は補殺するか、葉ごと取り除く。べたがけや早めの薬剤散布で拡大を防ぐ。
チップバーン:カルシウム欠乏で葉先などが焼けたようになる生理障害。卵の殻を酢に溶かし、100倍に希釈して散布する。
かきチシャの栽培方法
※温暖地を基準に記事を作成しています。
1 種まき
種まきは、ピートモスなどの土でできた育苗用圧縮ポット「ジフィーセブン」(直径42mm)を使えば、苗をそのまま植え付けられて便利。ぬるま湯に浸けて膨らませておいたポットの中央にピンセットなどで深さ5mmほどのまき穴を開け、種を3、4粒ずつまいたら(写真1)、バーミキュライトをかける(写真2)。ハンドスプレーで優しく水をかけておく。種まき後は、不織布を1枚かけておく。
【ポイント】
芽を出すのに光が必要なので、バーミキュライトは厚くかけ過ぎないように注意する。
2 間引き
適温ならば4、5日で出芽してくる。本葉が1〜2枚出たら、はさみやピンセットを使って1株に間引く(写真3)。
3 植え付け
本葉が3〜4枚になったら植え遅れることなく植え付ける。植え付け前の苗へはしっかり水やりしておく。元肥として肥料成分が長く効くIB化成を約56g混ぜた土をプランター(長さ約60cm・14L)へ入れる。15cm間隔で4株を植え付けたら(写真4)、たっぷり水をやる。植え付け後1週間程度は、土を乾かさないよう水やりして、根付きを促す。
【ポイント】
12〜3月までは、防寒、防霜、生育促進などの目的で不織布を1枚かけておく(写真5:べたがけ)。夏は日陰か、遮光ネットの下に置く。
4 収穫
春・秋まきで種まき後60日ぐらいから、夏まきは45日ぐらいから収穫できる。春まきは株ごと収穫。夏・秋まきは株取り収穫の後に摘み取り収穫もできる。葉が手のひらサイズの約20cmになったら下から2、3枚ずつ順次収穫する(写真6)。
【ポイント】
摘み採りながら長く収穫する場合は、植え付け後30日から、30日置きにIB化成を1株当たり約8gを施す。
栽培カレンダー
出典等
出典:(株)日本農業新聞「JA広報通信」10月号
写真・文:園芸研究家●淡野一郎 写真©ICHIRO AWANO