ベランダでも育てられる みんなのコンテナ栽培(秋まきダイコン)

2025年06月30日

ダイコン(秋まき)

秋まきで旬のダイコンを収穫 培養土の袋をそのまま活用

 根が長くて大きなダイコン。コンテナでの栽培は一見難しそうに思えますが、青首ダイコンなら、青首部分は地上に出ていて、根は意外と短いので、30cmほどの土の深さが確保できれば栽培できます。特に培養土の袋(14〜20L)は、高さも変えられ栽培にはもってこいです。
 冷涼な気候を好みますが、30度ぐらいの暑さでも発芽でき、生育に従い適温は徐々に下がるため、種まきは冬に向け気温が徐々に下がる9月上旬~10月中旬が一番適しています。害虫の多い初期は防虫し、葉の数を増やす頃と根を太らせる頃には追肥しましょう。
 秋まき用の品種には年内収穫する秋冬採り、年明け前後に収穫する冬採り、年明け後に収穫する越冬採りがあります。収穫時期に応じた品種を選ぶことも大切です。

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▲秋冬採りの青首ダイコン品種「冬自慢」

【基本情報】

●分類:アブラナ科ダイコン属 ●好適pH:5.5~6.8
●原産地:地中海、中央アジアなど諸説 ●日当たり:日なた
●発芽適温(地温):24~28度 ●生育適温(気温):17~20度

【病害虫情報】

キスジノミハムシ:秋まきで10月上旬まで発生し、幼虫が根を食害する。防虫ネットは目が1mm以下のものを使う。
ダイコンシンクイムシ(ハイマダラノメイガの幼虫)、アブラムシ類:気温の高い栽培初期は、害虫が付きやすい。

ダイコンの栽培方法

1 種まき準備

 培養土の袋(14L以上)の底の両端を寄せ、結束バンドで結ぶ(写真1)。箸などを使って袋の底に水抜き穴を数カ所開ける。袋をひっくり返し、封を開け、縁を巻き下げればコンテナができる(写真2)。

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▲写真1

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▲写真2

2 種まき

 土を全て袋から出し、増し土用に1L分をよける。残りの土に化成肥料(NPK各成分8-8-8)約18gとようりん約3gを混ぜ袋に戻す。深さ1、2cmのまき穴を空き缶で開ける(写真3)。穴の周囲へ種を離して5粒まき、土をかけ手で押さえる(写真4)。袋の底から水が出るまで、ジョウロでゆっくり水やりする。

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▲写真3

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▲写真4

【ポイント】

防虫のため種まき直後に支柱を渡し、上から防虫ネットをかけ、ひもで縛る(写真5)。

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▲写真5

3 間引き(2回)

 最初の間引きは種まき後約1週間で、子葉が十分に開いたら3株にする(写真6)。間引き後は防虫ネットを再びかける。2回目はさらに約2週間後の本葉4、5枚ではさみを使い1株にする(写真7)。この頃、防虫ネットは外す。

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▲写真6

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▲写真7

【ポイント】

子葉の数や形、色が異なり、出芽の早晩が強い株、特に2回目は子葉の下の茎(胚軸)が地面から極端に出た株を間引く。

4 増し土と2、3回の追肥

 本葉5、6枚から葉の数を増やし始めるので、株から離して化成肥料(8-8-8)約5gを施し(写真8)、土と混ぜる。このとき、袋の縁を上げて、種まきの際によけた土1L分を足す(写真9)。2回目はさらに約2週間後、根が太り始め本葉15~20枚の頃に同量を追肥する。9月下旬に種まきした場合や冬採り品種は、耐寒性を高めるため1カ月後に同量を追肥する。

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▲写真8

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▲写真9

5 収穫

 秋冬採り品種で種まき後65~85日、冬採り品種で90~130日ほど。葉が垂れ、中心部分の葉が開いてきたら収穫する(写真10)。

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▲写真10

※温暖地を基準に記事を作成しています。

栽培カレンダー

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出典等

出典:(株)日本農業新聞「JA広報通信」7月号

写真・文:園芸研究家 淡野一郎 写真©ICHIRO AWANO