ベランダでも育てられる みんなのコンテナ栽培「ニンジン」

2025年04月23日

ニンジン

夏まきで楽ちん収穫 肥大までの生育をスムーズに

 ニンジンの生育適温は、成長に従い低くなるため、夏まきは冬に向けての気温変化と各生育ステージの適温が合い、栽培に適しています。種まきは気象庁のデータを参考に、平均気温18~21度の時期の60日前にします。
 栽培は、根が本格的に肥大を始めるまでの種まきから60日の生育に集中することが大切です。まず発芽適温を維持し、土の乾きに注意し一斉に出芽させます。出芽から35日間の適温は20~25度で、肥大直前の本葉4、5枚で間引いて生育をそろえ、追肥で健康に、土寄せで根を守ります。根の長さが決まる出芽後30~50日の本葉7枚程度までの適温は18~21度です。出芽後60日、本葉10枚からの肥大適温は16~18度。前半の生育が順調なら、良質なニンジンができます。

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▲根の割れが少なく、生育旺盛で病気に強く、まきどきを選ばない五寸ニンジン「おこのみ」

【基本情報】

●分類:セリ科ニンジン属 ●原産地:アフガニスタン
●発芽適温(地温):15~25度 ●生育適温(気温):18~21度
●日当たり:日なた ●好適pH:5.8~6.4

【病害虫情報】

黒葉枯病:葉が褐・黒褐色になり、巻き上がり枯れる。肥大成長期に出やすい。肥切れさせず、発生時は殺菌剤を散布。
ネキリムシ類:ヤガの仲間の幼虫が夜間に株元をかじる。被害株周辺を掘ると幼虫がいる。捕殺、防虫ネットの被覆、ベイト剤を散布。

ニンジンの栽培方法

1.種まき

 土に普通化成(NPK各成分8-8-8)と過リン酸石灰を各約60g混ぜ、深型プランター(長さ70cm、深さ32cm、36L)へ入れる。種まき前日に土を湿らせ、15cm間隔、株間6cm、深さ5mmのまき穴を20カ所ほど開ける。1穴に3粒まき(写真1)、バーミキュライトをかけ、手で押さえ土と種を密着させ(写真2)、十分に水をやる。

【ポイント】
出芽までの8日前後は乾きに注意して、一斉に出芽させる。

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2.間引き(1、2回目)

 本葉4、5枚で株元を手で押さえて抜くか(写真3)、はさみで切り取り1カ所1株にする(写真4)。病害虫被害、勢いの強過ぎ弱過ぎ、葉色の不ぞろい、葉が開いている、葉の付け根(葉ざや)が太く短いものなどを間引く。

【ポイント】
間引きは早いと立ち枯れしやすく、遅いと徒長し倒れて生育が遅くなる。

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3.追肥・土寄せ

 本葉4、5枚ころの養分切れは肥大不良の原因になるので、この頃、普通化成(8-8-8)約14gを株間に施す(写真5)。追肥後は、土の通気と通水を高め、除草も兼ねて土を寄せ(写真6)、水をやる。

【ポイント】
土寄せの土は根にかけ、生育遅れや病気予防のため葉や葉ざや部分にかからないようにする。

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4.収穫

 五寸ニンジンで種まき後90~120日(写真7)、根径5cmで尻が詰まってきたら収穫できる(写真8)。夏まきならとう立ちする3月下旬前まで長く収穫できる。

【ポイント】
強い冷え込みが来る前に、凍るのを防ぐため土を盛っておく。

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栽培カレンダー

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写真・文:園芸研究家●淡野一郎 写真©ICHIRO AWANO