ベランダでも育てられる みんなのコンテナ栽培(葉ネギ・小ネギ)

2025年03月27日

葉ネギ(小ネギ)

場所を取らず何度も収穫できてあると何かと便利な常備野菜

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▲暑さに強く周年栽培ができ、葉ざやの細い小ネギとしても使える「九条葉ネギ」

 葉の下の葉ざや部分が白く長いため、白ネギとも呼ばれる関東の「根深ネギ」に対して、関西以西で広く栽培されてきたのが全身緑色で青ネギとも呼ばれる「葉ネギ」です。根深ネギの旬は冬ですが、葉ネギは梅雨明けの夏にうまさを発揮します。特に葉ネギを早採りする小ネギは、収穫までの期間が短く、生育温度は4〜33度と広いため、一年を通し繰り返し収穫できます。長さ40cmの小型プランターでも26~40株ほど栽培できます。
 一見すると茎が見当たりませんが、根が出ているところのすぐ上に皿状の茎がちゃんとあります。ここに成長点があるので、地際から5cmほどを残して刈り採れば、再び葉が伸び、何度も収穫できます。薬味などあると重宝する葉ネギは、いつも栽培しておきたい野菜です。

【基本情報】

●分類:ヒガンバナ科ネギ属 ●原産地:中国西部(諸説あり)
●発芽適温(地温):15~25度 ●生育適温(気温):15~20度
●日当たり:日なた ●好適pH:5.7~7.4

【病害虫情報】

ネギアブラムシ:黒色で、葉に寄生し汁を吸う。6月ごろに発生しやすい。繁殖力が強く、葉の黄化や枯死を引き起こす。
ネギアザミウマ:黄や茶褐色の体長2mmほどの昆虫。高温乾燥下で発生しやすく、白いかすり傷状の食害痕を残し生育を阻害する。

葉ネギ(小ネギ)の栽培方法


1 種まき

 小型プランター(長さ40cm・5L)に、元肥(IB化成18~28g)を混ぜた土を入れ、8cm間隔(プランターのサイズに応じて15cm間隔までで調整)で深さ約1cmの溝を2列作る。溝へ重ならないよう種をまき(写真1)、土をかけて水をやる。

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▲写真1

ポイント
気温の低い3月下旬までは日当たりの良い室内や園芸フィルムで覆ったトンネル内で出芽させる(写真2)。

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▲写真2

2 間引き(1、2回目)

 種まき後5日ほどで出芽してくる。発芽後間もなく混んだ所を、ピンセットを使って間引く(写真3)。本葉1枚で2回目の間引きをし、株間を1cm間隔にする(写真4)。

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▲写真3

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▲写真4

3 間引き3回目と追肥

 最後の間引きは、本葉3枚までに株間を2、3cmにする(写真5)。間引き後に5~8gの普通化成(NPK成分8-8-8)を株間に施し(写真6)、水をやっておく。土が減っているようならば土を足しておく。

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▲写真5

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▲写真6

ポイント
長く収穫するにはこれ以後14日置きに同量の化成肥料を施す。

4 収穫

 小ネギとしての収穫は、草丈30~40cm、最短で種まき後60日から(写真7)。繰り返し収穫する場合は、地際から5cmほど残す。

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▲写真7

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▲写真8

ポイント
春になるととうが立ち「ネギ坊主」(写真8)ができる。開花し種が付くと株が弱るので、ネギ坊主は早めに摘み採る。天ぷらにするとこれまたおいしい。

栽培カレンダー

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写真・文:園芸研究家 ●淡野一郎

写真©ICHIRO AWANO