第9回通常総代会を開催しました
JAしまね第9回通常総代会を6月25日、浜田市の石央文化ホールで開催しました。
4年ぶりの通常開催となり、当日は、総代定数1,000人(欠員23人)に対し、956人(書面決議を含む)が出席。議長団に、足野隆二総代(雲南地区本部)、向濱樽幸総代(隠岐どうぜん地区本部)の両氏を選出し、各地区本部総代から意見、要望が出される中、前年度事業報告、新年度事業計画など全議案が可決承認されました。
【お知らせ】
本総代会では、ご出席いただいた総代の皆さまからご質問やご意見を幅広く頂戴いたしました。いただいたご質問・ご意見に対する回答は、改めて広報誌等でご報告させていただきます。
令和4年度事業報告
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症が拡大・収束を繰り返すなかでウィズコロナへ行動様式が移行するなか、景気は緩やかに持ち直しが続いていました。しかし、ロシア軍によるウクライナ侵攻以降、国際情勢の緊迫、加えて急激な円安が進んだことにより、肥料・飼料をはじめとした資源価格は高騰を続け、農業経営に深刻な影響を与えました。
島根県内の経済においては、ウィズコロナの下、個人消費や雇用情勢等持ち直しつつあり、全体的に回復基調の兆しが見受けられますが、国際情勢等を踏まえた為替や物価の動向、再度のコロナ感染症拡大等のリスクについて、引き続き注視していく必要があります。
農業情勢においては、5月から6月にかけての降雹被害、7月・8月の全国域の大雨被害、9月の台風被害、1月には大雪被害等により、各地で農産物・農業施設等に甚大な被害をもたらした他、10月には岡山県の農場を発端に発生した鳥インフルエンザが例を見ない速さで蔓延しており、復興・防疫の取り組みを引き続き進めていく必要があります。
JAグループにおいては、引き続き「不断の自己改革」に全力で取り組むことを通じ、農業生産基盤の確立、地域・組織・事業基盤の確立、経営基盤の強化をすすめるとともに、わが国の食と農に対する国民理解の醸成と国消国産の確立に向けた取り組みをすすめました。
こうした状況の中、令和4年度は、「第3次農業戦略実践3カ年営農計画」の初年度として、鍵となる園芸振興、担い手確保・育成、また営農指導と経営指導を通じた農業者の所得増大、農業生産の拡大に向けた取り組みを実施しました。
取り組みの結果、販売品販売・取扱高が380億42百万円、購買品供給高が330億18百万円、貯金残高が1兆98億74百万円、貸出金残高が2,819億39百万円、長期共済保有高2兆9,059億21百万円となりました。また、財務状況の安全性を示す指標である自己資本比率は13.30%となりました。
収支面については、事業利益が2億35百万円、経常利益は16億5百万円となり、当期剰余金は8億22百万円となりました。
主な事業活動と成果
販売事業
米穀は令和4年産の島根県における水稲の作況指数が101(前年100)となり、主食用の収穫量は83,600tで、前年産比2,400tの減となりました。また、4年産米の集荷数量は令和5年3月末現在で33,900tとなり、出荷契約に対する集荷進度は94.9%、前年対比では96.3%となりました。
園芸
島根ぶどうは継続的にSNSを活用した消費宣伝を行ったことや、高単価の早い時期への出荷誘導を行い、デラウェアについてはkg単価において過去最高を更新する1,423円(税別)となりました。島根ぶどう全体では、シャインマスカットが大きく伸びたこともあり、14年ぶりに販売金額20億円を達成することが出来ました。玉ねぎは、広域調製保管施設の稼働開始に伴い、面積拡大、販売額の大幅な増加につながりました。西条柿は、生産者と共に3年ぶりとなる量販店での販売促進に取り組みました。
畜産
コロナ禍による外食産業を中心とした消費減退や円安の影響を受けた飼料価格高騰など自助努力で回避できない大きな問題が次々と畜産経営に影響を与えるなか、生産者組織・関係機関と共に畜産物の消費拡大と、購買者誘致・肉質データ提供による有利販売等販売拡大に取り組みました。第12回全国和牛能力共進会では第6区総合評価群肉牛群で1位、併せて特別賞「脂肪の質賞」を受賞し種牛群との総合評価で全国3位を獲得したほか、肉牛群の第7区・第8区でそれぞれ優等賞2席を獲得し、肉牛群出品全3区において好成績を収めました。特別区では24県から24校の出場があり島根県代表として出場した県立出雲農林高校は総合成績で優等賞5席、併せて特別賞「顔品賞」を受賞しました。オール島根で臨んだ今大会では肉牛群を中心として好成績をおさめることが出来ました。
また、酪農に関しては、乳業メーカーとの乳価値上げ交渉について指定生乳生産者団体である中国生乳販連(中国生乳販売農業協同組合連合会)を通じて行い、生乳1kg当り15円の要求に対し、令和4年11月から10円/kgの回答を了承しました。
資材
肥料・農薬については、昨年に引き続き肥料統一銘柄7品目、農薬統一銘柄8品目を継続して選定し、品目集約による価格低減を図り、組合員へ還元しました。また、価格低減となる担い手直送超大型規格農薬の普及に取り組みました。なお、肥料・飼料価格高騰を受け、JAしまね独自による「肥料・飼料高騰対策」を実施し、農家支援を行いました。
農機事業
全農とJA共同出資の県域会社設立に向け、全農及び地区本部、子会社と協議を進めました。
信用事業
貯金の大宗を占める個人貯金については、総合事業体であるJAの特性を活かし、「しまね和牛」をプレゼントするキャンペーンを実施し、農畜産物消費拡大、農家所得の向上に取り組みました。貸出金については、コロナ対策及び原油や飼料・肥料等の価格高騰対策として、「令和4年度新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰等対策資金(県制度資金)」の取扱いを開始し、自然災害対策としては「令和4年3月暴風農業被害対策資金(県制度資金)」「令和5年1月大雪農業被害対策資金(県制度資金)」の取扱いを開始し、影響を受けられた農業者の支援に取り組みました。
共済事業
担い手経営体や個人農業者に対し、農業経営に関わる様々なリスクへの診断を行う「農業リスク診断活動」に取り組むとともに、「JAしまねこども倶楽部」を通じた子育て支援や次世代との繋がりづくりに努めました。
くらしの活動
コロナ禍での活動制限が少しずつ緩和されるなか、豊かなくらし・地域づくりを目的とし、「食と農に関する活動」「地域貢献活動」「支店ふれあい活動」を三本柱に地域活性化の核となる取り組みとしてすすめてきました。また、家の光・日本農業新聞等の教育資材を活用し、研修や学習活動を実施しました。
令和5年度事業方針
農業振興
【方針】
「第3次農業戦略実践3カ年営農計画」の第2年度目として、初年度の成果と課題を踏まえ施策に修正を加えながら、「農業者の所得拡大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」に繋がる目標の達成に、全力で取り組みます。
持続可能な地域農業を実現するため、中核的担い手や新規就農者、多様な農業者に対して積極的な支援、活動を通じ、「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」を目指すとともに、「みどりの食料システム戦略」を推進します。
【重点実施事項】
①次世代総点検運動の取り組みと地域の担い手育成
②担い手経営体の経営課題に対応した農業経営支援
③JAの総合力を発揮した事業承継支援の実施
④農作業等の安全・安心対策
⑤インボイス制度導入に係る部門(品目)横断的な情報発信
⑥営農指導・生産振興での生産者貢献
⑦農業振興支援事業の実施
⑧島根県産農畜産物の安全・安心への取り組み
⑨農業労働力確保対策
⑩将来にわたって持続・発展する島根農業を可能にするスマート農業の推進
全般
くらしの活動
活動の理解促進、女性部・青年組織・支店ふれあい活動などと連携した活動の展開や教育文化活動の場づくりに努めます。豊かでくらしやすい地域づくりのためのふれあい活動として、「食と農に関する活動」「地域貢献活動」「支店ふれあい活動」を三本柱とする「JAしまねくらしの活動」に取り組み、活動を通じた組合員・地域住民の連携強化によって地域活性化を促し、持続可能な「地域・組織・事業基盤の確立」を目指します。
販売事業
農業戦略実践3カ年営農計画に掲げた「持続可能な地域農業の実現」に向け、行動計画を策定し進捗管理を行うことにより、生産現場での営農指導と販売を連携させた実践策を講じます。
購買事業
農家組合員の営農を支え地域農業の振興に資するため、物流改革や資材店舗改革等による効率的な購買事業を進め、農家組合員の生産コスト低減と組合員サービスの充実・強化に努めます。
信用事業
持続可能な島根の農業と、豊かでくらしやすい地域共生社会を実現するため、JAしまねの総合事業を活かしながら、貯金、貸出金といった生活基盤を支える事業を中心に様々な相談機能やコンサルタント機能を提供し、農業・くらし・地域によりそう金融仲介機能を発揮します。
共済事業
組合員・利用者に「寄り添い」、包括的な安心を「届け」、地域農業・地域社会とより広く・深く・長く「繋がっていく」ことにより、組合員・利用者への「安心」と「満足」を提供します。併せて、新たな生活様式への対応を加速させ、組合員・利用者一人ひとりのニーズに応じた事業活動を実践し、事業環境の変化に適切に対応した事業展開と地域農業・地域社会への貢献に取り組みます。