つながるコラム「絆」 vol.28 西ノ島町・ニホンミツバチ

隠岐どうぜん地区本部

隠岐はミツバチにとって天国

西ノ島町・ニホンミツバチ

隠岐どうぜん地区本部 
安達和良さん

今回のピックアップはニホンミツバチ。西ノ島町でニホンミツバチの飼育・採蜜に取り組む安達和良さんを取材してきました。長年教員として勤めてきた安達さんは、蜂が好きで蜂を飼いたいと考えていました。一般的に出回っている西洋ミツバチではなく、様々な点からニホンミツバチにしたそう。ニホンミツバチの蜜の味は、西洋ミツバチに比べて少し酸味があり、そして「百花蜜」と言われるように、四季折々の様々な種類の花の蜜を集めるので、味わい深いのが特徴です。まずは隠岐諸島におけるニホンミツバチの生息調査からスタートしました。

ニホンミツバチの復活プロジェクトを発足

生息調査を進めていくと、海士と知夫はすでに絶滅し、西ノ島と道後(隠岐の島)は残っていることがわかりました。その蜂を捕獲し、飼い始めたのが約15年前。それから徐々に群れを増やすことができるようになったところで、「和蜂復活プロジェクト」を立ち上げ、メンバーを募り飼育を広げていく活動を始めました。3年後には隠岐諸島すべてでニホンミツバチの復活を確認、プロジェクトは今年で6年目を迎え、メンバーも54名に増えました。

貴重なニホンミツバチの蜜



安達さんが現在飼育しているミツバチは20群。それぞれの巣箱にカメラを入れて撮影し、中の蜂の数や様子を確認しながら段数を調節していきます。
蜂たちは、一番上の巣板に蜜を溜めていきます。これを1枚ずつ外し、バケツの上に乗せた、ざる、ガーゼの上に置いてしばらく経つと、ポタポタと蜜が落ちていきます。気温や糖度によりますが、すべて落ちるのに約1週間かかります。ニホンミツバチから採れる蜂蜜は西洋ミツバチの4分の1でごくわずか。しかも越冬のためだけに蜜を溜めるという性質上、1、2年に一度しか採蜜できないので、とても貴重な蜜なのです。

工夫された巣箱やグッズをすべて自分で作成



飼育していく上で、安達さんのいちばんの仕事は巣箱作り。自分で育てた木を切って持ち帰り、チェンソーで板にして作っています。その際、窓をつけて外からでも中の様子を見えるようにしたり、中の様子を撮影するためのカメラを入れる扉を作ったり、夏の時期の通気を良くするためのスペースを開けたりと自分なりに創意工夫を凝らしながら、年々改良を重ねています。また、オオスズメバチのシーズンには集団で巣箱の入り口をかじって中に侵入してくるので、この時期のためにオリジナルでスズメバチ防止柵を作成。絶妙な幅の出入り口はミツバチの出入りは可能ですが、オオスズメバチは入れないように工夫されています。

隠岐はミツバチにとって天国

ニホンミツバチは蜂蜜を作ることはもちろん、木々や野菜に花粉を運び受粉させることで植物の生長に役立っています。「どちらかといえば、採蜜よりはその方が大事」と語る安達さん。このまま絶滅しないように増やした状態を維持したいと考えています。ミツバチは、農薬にすごく弱いので、田んぼや果樹園、ゴルフ場などの周辺では飼えません。隠岐地方でも多少被害が出ている場所もありますが、今のところ本土に比べると圧倒的に少なく、ミツバチが住むには天国です。安達さんは「今後、可能であれば本土にも移住させてどんどん増やしていきたい」と新たな希望を抱きながら、ニホンミツバチと共に挑戦し続けています。

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