36 国から言われたことを起爆剤にし、農業者の皆さんに寄り添って、JA改革に取り組んできたという強い思いがあります。(インタビュアー) それ以外にも色々取り組みがありました。◆新たな運営体制の構築◆(竹下氏) 経営環境が随分変わってきました。やはり信用共済の外部要因が大きく変化し、農協の収益構造もずいぶん変わりつつある時代に入ったと感じていました。その時に思ったことはJAしまね自己改革の原点である、組合員の所得の増大、生産の拡大、地域の活性化の取り組みと、JAの健全経営は車の両輪であり、組合員目線で統合メリットが実感できる組織運営に変えていかなければならないということでした。農協へのバッシングをチャンスと捉えて改革を実行しなければ、と。 ひとつは、運営体制の改革ですが、平成30年11月の臨時総代会において改革案を策定し、翌年(令和元年)6月に実行するという目標を掲げました。 改革案の中には、役員数の削減も盛り込みました。約3,600名の職員の人員削減はしないといけないが、役員数も多いじゃないかという意見も当然出るわけで、まず役員自らの削減に手を付けていく必要がありました。合併時の農協役員は、理事65名、監事9名の合計74名でしたが、この体制での理事会運営では多くの議案について役員との十分な議論ができず、厳しい経営環境に迅速に対応することが難しいというのも削減の理由でした。 「急ぎすぎていませんか?」という意見もありましたが、役員の皆さんとも改革を進めていこうと、議論に議論を重ねて結論を出したつもりです。その甲斐もあり、翌年6月の総代会で決定され、理事40名、監事6名への削減が実現出来ました。 苦しいことも沢山ありましたが、やってよかったなと今思っているところです。JA統合まで10年かかった反面、ほんの3年間で役員・職員を削減するというのは当事者の生活に関わることでもあり、申し訳ないという思いは常に心にありました。 各地区本部の常勤・非常勤役員、総代の皆さんと粘り強く協議し、こつこつと積み上げたことで何とか実現できたと思いますし、私一人で実行することは不可能ですから、様々な方々と毎日のように議論し、理解を頂いたからこそ実現出来たと思っております。当時はずいぶんと叱られました。◆デジタル化でコスト削減◆(インタビュアー) ペーパーレス化、テレビ会議システム導入にも取り組まれました。(竹下氏) 理事会の当日に資料の差し替えが頻繁にあり、職員の負担も大きく、また、理事からも当日資料を配布されても十分に読めないとの意見もあったことから、思い切ってタブレット端末を導入しました。 最初は使いこなせるだろうかと心配しましたが、今では無くてはならないものとなりました。印刷代・人件費も、相当削減できたと思います。 また、時間を有効活用し、役員の皆さんと議論をより深めるために、県下11地区本部と本店をつなぐテレビ会議のシステムを構築しました。 組合長を務めた3年間には、まだまだ思い出は沢山ありますが、主にはこういうところでしょうか。(インタビュアー)ありがとうございました。
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