JA統合10年記念誌デジタルブック
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1島根県農業協同組合代表理事組合長石川 寿樹 島根県農業協同組合はこの3月に、発足から10年目の節目を迎えることができました。 ひとえに、組合員の皆様、地域の皆様のご協力と、歴代役職員の皆様のご努力の賜物と感謝申し上げます。 この10年を振り返るにあたり、まずはJA統合に至る経緯について触れたいと思います。 平成15(2003)年、第28回JA県大会の議案審議において、「少子高齢化のなか、さらなる組織整備が必要」との意見が出されたことが、統合協議の端緒とされております。 その後10年以上にわたり、「足許の明るいうちに」の信念のもと、率直な協議が続けられ、多くの障壁を乗り越えて、平成26(2014)年3月に全JA一斉に開催した臨時総代会で、統合が承認されました。 そして翌年3月1日、県内11のJAならびに県域連合組織の一部が結集し、全国で4番目の県単一JAとして船出いたしました。 この統合は、当時の組合長・常勤役員の皆様の並々ならぬご努力によって成し遂げられ、特に地区本部制や島根方式とも言うべき利益還元の考え方は、他県の合併協議の参考になっていると聞き及んでおります。 こうして誕生したJAしまねですが、当時の喫緊の課題であったのが、農協改革という荒波への対処でありました。 この課題に対して、統合以前より、国が考える改革の方向に沿った対応が必要であるとの方針から、認定農業者や農業法人の経営者を多く配置した役員構成とするなど、法改正の先手を打った対応によって、スムーズなスタートを切ることができました。 続く2期目では、JA自己改革の最大の目的である、組合員のためのJAづくりに邁進するとともに、厳しい経営環境を打開するため、迅速な意思決定を目指した役員体制の改革を進めました。 その他、JA独自資金による農業振興ならびに地域振興事業の展開、島根県や他業態、他県JAとの連携の強化をはじめとする、幅広い事業を展開するなど、初代萬代組合長ならびに竹下前組合長のリーダーシップによって、JAしまねの基礎が出来上がりました。 順調に走り始めたJAしまねですが、私が引き継いで間もなく、新型コロナウィルスが猛威を振るいはじめ、その後5年近くのあいだ、多くの活動が制限されました。 加えて、米の価格低迷と生産資材の暴騰が重なるなど、農業経営を取り巻く環境は、いまだに好転の兆しが見えない状況です。 また、信用・共済事業の収支は、今後ともさらに厳しくなることが予想され、既にJAの経営に多大な影響が出ています。 この状況を打開するためには、将来を見据えた改革として、営農経済事業改革、店舗再編などを断行せざるを得ず、多くの皆様にご心配をおかけすることとなりました。 しかし、このような取り組みは、JAの存続がなければ、組合員の皆様、地域の皆様へのサービス提供も不可能になるとの危機感から実施したものであり、ご理解をお願いいたします。 誕生10年を迎えたJAしまねにとって、これからの10年は、新たな視点に基づく運営体制を構築する必要があると同時に、「攻めの改革」による積極的な事業展開が求められますが、それらは十分に実現可能であると考えております。 この10年史は、こうしたこれまでの出来事や課題に対して、関係者が如何に対応してきたのかをまとめることで、今後の運営の参考資料としての性格も備えたものといたしました。 是非ともご高覧いただき、これからのJAを担う方々の一助となるとともに、関係の皆様のJAへのご理解が深まりますことをご祈念申し上げ、発刊にあたってのご挨拶といたします。発刊にあたってのご挨拶

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